第1章 序論
1.1はじめに
婉曲表現は人間関係を円滑に運ぶ上で重要な言葉であり、環境や文化などの要素の影響で自分の意思をソフトに伝えられるように使われる言葉である。
日本の文化では遠回しの表現がよく用いられる。日本人であれば「だめです」「無理です」などの直接な断りを言う前に「前置き」をおくことが多く、「協力したいんですが、またの機会に…」などのような言いさしで相手に理解してもらう表現をしばしば耳にする。特に「断る」という発話行為は相手の意向に逆らうことになるので、一般的に相手の気持ちを傷つけないようにするため、ある程度の婉曲的な表現が要求される。
日本語学習者にとって意味が伝わったとしても、実際のコミュニケーションにおいては円滑な人間関係を損なう問題点がある。
中国人日本語学習者にとって、日本語の婉曲表現の用法を正確に習得することは困難である。それにもかかわらず、現状として日本語教科書では婉曲表現に関わる項目がそれほど整理されていないため、中国人の学習者にとって、婉曲表現を正しく表現できない一つの原因となっている。
本稿では主に下記の3つの面から婉曲表現について考察していく
1. 中国人日本語学習者が実際使われていた日本語教科書を分析し、その中における婉曲表現に関する内容を考察する。
2. アンケート調査を通して、中国在住の学習者と日本在住の学習者のそれぞれの婉曲表現に対する使用状況を明らかにし、分析する。
3. 这里想写(1与2对照以后,想把两者的相互关系给表明)
教科書で婉曲表現について習った、しかし婉曲表現は使えない なぜか?
教科書で婉曲表現について習ってない しかし、婉曲表現は使える なぜか?
刘老师:3の部分を日本語でうまく書いてくれれば助かります。↑
4. 最後に、日本語教科書における問題点に対して、婉曲表現の新たな学習方法を提案する。
1.2 研究の動機
筆者が日本に来たばかりのことである。アルバイトの先輩の家で夕食を食べることになり、席に座った途端先輩から納豆を進められたが、私は「好きじゃないから、嫌です」と断った。先輩は「好きじゃないから嫌だとは直接言わないね」と,少し表情を固くしながら言った。「どうしてですか」と言い返すと,先輩は「もういいよ」と言い、その後は無言のまま夕食を終わらせた。「正しく断ったのにどうして怒るのか理解できなかった。日本語の学習が進むにつれ、その時の先輩の話の意味や表情が固くなった理由が次第にわかってきた。
「嫌です」と言った表現に原因があった。中国文化では問題にならない直接的な表現が、日本人には礼儀知らずとなる。
留学生にとって実生活上の問題となるのが「婉曲表現」ではないかと考える。言葉それぞれがもつ文化の背景をしるコミュニケーションの上で非常に重要であると考え、本研究を行う。
1.3 研究の目的
日本語学習者にとって日常生活、学校、職場などの人々との付き合って、依頼を受けても断わらなければならないことが常にある。しかし、婉曲的な断りを上手に使い、日本人との人間関係を上手に処理している日本語学習者は少ないだろう。場面、相手、依頼内容などによって、断り表現がさまざまあって、その断り表現によって誤解や障害また、不満を生じることも多い。
本研究ではアンケート調査を通じて、中国人日本語学習者の婉曲表現の使用状況を調べ、日本人とより円滑なコミュニケーションをとるためにはとう応用すべきかの問題点に対し、教科書の新たな学習方法の改善案を試みる。